今回は、カテ前準備についてです。

「外す物品と外さない物品」

カテ出しする時に、「あれ?補聴器ってつけたままでいいんだっけ?」「患者さんがかつらを外したくないって言うんだけど、このままで大丈夫かな・・」なんて疑問浮かびますよね。余計な物をつけて行くとカテナースに怒られちゃうし、確認の電話をするのに勇気を振りしぼったり、カテ前準備マニュアルはあっても、文章ばっかで覚えられないし・・

そんな不満?不安?を解消するために、外す物品と外さない物品をイラストにしてみました。看護師さん用は細かい注意点も入れてみました。看護師さんの印象に残るように作成したらド派手になってしまいました。患者さん用はわかりやすさを重視し、カテ前オリエンテーションにも使用できるようにしました。*看護師さん用と患者様様を間違えると患者さんに怒られますのでご注意ください。

さて、本題にはいります。

重要なのはその理由です。

なぜ、外すのか?なぜ、外さなくていいのか?その理由が分れば悩む負担もなくなります。まずは外す物品から。さあ、順番にいってみましょう!

外す物品

【義歯】

カテ中に急変して挿管が必要になった時に、意識が無くなると外せなくなったり、義歯が欠けたり外れたりして誤飲させてしまう恐れがあるからです。総入れ歯の女性の場合は、羞恥心から義歯を外すことに抵抗が強いので、マスクなどの着用も配慮してあげましょう。(今はコロナ禍でマスク着用のままカテをすることが多いと思いますが、そうでない施設であればご配慮をお願い致します)

【湿布類】

湿布は、透視に映ってしまうことがあるので事前に剥がしておきましょう。また、経皮吸収型のテープ類は、前胸部に貼っておくとカテ中の胸部誘導電極を貼る時に剥がされてしまいますので、カテ日は上腕(肩)か腹部に貼るように指導すれば、テープを無駄にしないですみますね。

【化粧】

顔色の確認ができなくなるので、すっぴんでカテ室入室してもらいましょう。日帰りカテなどでバッチリメイクをして来られた場合は、せめて口紅だけは落としてもらうとか臨機応変に対応しましょう。

【マニュキュア】

酸素飽和度が測定しずらくなると言われていますし、爪の色も確認できません。マニュキュアであれば説明してその場で除光液で落としていただきましょう。問題はジェルネイルですね。ジェルネイルを落とすためには特殊な薬液が必要になるので、病院ではまず落とせません。外来などで、事前にジェルネイルをしていることがわかれば、入院前までに落としてきてもらいましょう。

【貴金属】

指輪は、点滴などでむくんだ場合、抜けなくなりカットしなくてはいけなくなるケースもあるので、大切な指輪は事前に外してもらいましょう。時計は穿刺の邪魔になりますし、ネックレスなどは透視に映りますので事前に外しておきます。いずれも、貴重品になりますので紛失には要注意です。金庫に入れてもらうかご家族に預けましょう。

外さない物品(外さないで欲しい物)

【眼鏡】

極度の近視の方は、見えない状況での入室や階段昇降は恐怖でしかありません。眼鏡は装着したまま入室して頂き、カテ台に臥床してから外しましょう。事前にカテ中は眼鏡はお預かりする旨を説明しておきましょう。カテ室にメガネケースを用意しておくと、眼鏡の破損や返却忘れ防止になります。メガネケースは100均のプラスチック製のものが、安価で衛生管理がしやすいです。

【補聴器】

意外と外されてしまうことが多い補聴器。カテ中は息止めの指示を出したり、頻回に症状を確認することがあります。極度の難聴で毎回大きな声を出さないと確認できないのでは、医師も看護師もそれだけで疲弊してしまいます。コミュニケーション確保のためにも、補聴器はしっかり装着してきて頂きましょう。

【かつら】

頭部のIVRでなければ特にかつらは影響ありません。かつらの固定に金属使用の有無の確認はしておいた方が良いでしょう(カテ後に急遽MRI撮影が入った場合に備えて)かつらもデリケートなものになりますので、申し送りや記録にきちんと残しておきましょう。申し送り漏れにより、カテ後に患者さんののディスポキャップを外す際に一緒にかつらを外してしまった悲劇(事実)が起きないようにしましょう。

【靴下】

カテ室は寒いですので、靴下など足先を保温するものを着用してもらった方が、カテ中患者さんは落ち着いて過ごせます。以前は足の指で酸素飽和度を測定するために靴下を脱いでもらっていたのですが、MEさんと協議して手の指で測定するように変更してもらい、それからは患者さんはカテ中寒がらなくなりました。

いかがでしたでしょうか。「なぜカテ室に着けていってはいけないのか?」その理由がわかると、患者さんに説明する際も説得力が違います。また、【御守】や【写真】など、患者様のご希望がある時は、工夫して希望を叶えてあげましょう。看護師の腕の見せ所ですね。