今回は、生まれ変わった実臨床セミナーが開催されました。夏に基礎セミナーを受講された方や、臨床で半年間現場で揉まれながら、カテ室業務の壁や困難にちょうど差し掛かるであろう時期に、実臨床では避けては通れない「急変」をテーマにして企画致しました。

各職種、「〇〇力」というkeywordを掲げて、急変時に大切な心構えや考え方を講演して頂きました。上尾中央総合病院の診療放射線技師の井田篤さんは、ICLSの活動を中心に、カテ室ではどのように振る舞うべきか、ICLSインストラクターと放射線技師の立場から話してもらいました。トップバッターで緊張するなか、全職種が必要な知識を教えて頂きました。次に、見逃しては行けない画像所見を、上尾中央総合病院の診療放射線技師の石田隼斗さんが講演。石田さんは、カテ動画を沢山準備して頂き、多くの方が「あるある〜」と実感できたと思います。やっぱりカテ動画を見るのが一番臨場感ありますね。また、血圧低下時に「100倍ノルアドを投与」するとおっしゃっていて、改めて施設によって薬剤組成が違うものだと感じました。補助循環関連では、慌てないための心構えとして、さいたま赤十字病医院の臨床工学技士の中島修さんが講演。胸骨圧迫→PCPS→IABPのような症例や、徐脈や血圧低下時は、常に補助循環が必要とされる心構えをもって望むことが最も重要と教えてくれました。たしかに、常に最悪の状況をイメトレしておけば、どんな場面でも慌てませんよね。臨床って、この感覚が本当にとても大切だと思います。益子病院の臨床工学技士の池大輝さんは、「観察力を身につけ効果的なサポートを」として、先入観が見逃しにつながる事、チームとして医師に発信する(伝える)ことの重要性を教えてくれました。医師によっては、コメディの言うことを全く聞かない(むしろ機嫌が悪くなる)方もいますからね。チームで声を出すことは確かに必要です。上尾中央総合病院の臨床工学技士の渡邉文武さんは、普段の症例から習慣化できること、そのためには職場雰囲気が重要になることを伝えてくれました。スライド構成にとても力を注いで準備されいたのが会場全体に伝わり、笑いありの講演でした。講演したご本人もさぞ気持ち良いだろうな〜と羨ましく思っていました。(しかしご本人様は講演後急変なさって早退されてしまいました。あのコンディションでよくあれだけ会場の空気掴めたなと思いました笑)ランチョンセミナーは、ボストンさん、アボットさん、フィリップスさんが講演して下さいました。ハンズオンもご提供してくださり、普段デバイスを触ることが少ないコメディにも貴重な場となりました。午後は看護師セッションです。さいこめは、看護師さんの参加率が高いです。しかし、看護師問題には「高い離職率と異動(理不尽)」があると思います。そんな状況の中、カテ室に配属された看護師さんは、少しでも多くの知識と分かりやすい解説を求めて参加されていると思います。カテ室での急変は「トラウマ」になる可能性が高く、指導する側のフォロー体制も重要になります。チームとして、病院全体としての取り組みを自治医大さいたま医療センターの看護師鈴木敦子さんが話してくれました。懐かしい映像も流れて、10年前にさいこめ発足当初に観た記憶が蘇りました。カテ前看護では、草加市立病院の菊地千幸さんが、救急外来看護師の目線から、一秒でも早くカテ室に送り出すために動いていること、ER⇔カテ室間でのやり取りについて話してくれました。緊急時は、カテ室看護師がERに患者の具合を観にいく大切さも教えてくれました。カテ後看護では、益子病院の佐藤孝洋さんが講演。一般病棟ならではの「あるなる」話を実体験からして頂き、医師が帰宅した後の病棟看護師さんの苦悩(責任の重さ・医師への電話連絡の難しさ)がひしひしと伝わってきました。

最後はケースディスカッション。県立呼循環器呼吸器センターの臨床工学技士の加藤和也さんが貴重な2症例を提示してくださいました。座長の澤海と宇都宮記念病院の綾見さん以外、だれも症例の結末を知らない状況でディスカッション開始。とは言っても、私も初めて聞きた感覚に陥り、真剣に症例報告を聞き入ってしまいました。循環器呼吸器センターの素晴らしいところは、急変症例をきちんと振り返り、チーム全体として問題点の抽出と改善策まで辿り着けていることです。問題から目を背けずに、きちんと向きお合うとするチームであること、それを支持することが出来る施設こそ、求められる本当の病院像だと痛感致しました。

一日を通してスーパーバイザーとしてコメントして下さいました戸田中央総合病院の循環器内科医の土方伸浩先生、ありがとうございました。医師の講演会とは全く違う雰囲気の中で、コメディの重要な視点や、医師がコメディに求めるものなど、わかりやすくかつ熱意を持ってコメントしてくださり、コメディだけでは思いつかないような広い視野で話を聞くことができました。

今回は初の浦和コルソ会場でした。予算の関係で、毎回この会場というわけにはいきませんが、利便性と会場の広さや設備を考えると、今回のような大規模なセミナーはまたここで開催したいなと思いました。

次の予定は5月の定例会です。自粛ウイルス蔓延でまだどうなるかわかりませんが、ひとまず実臨床セミナーが無事に終わり安堵しております。

講師の皆様、事務局の皆様、世話人の皆様、参加して下さいました皆様、本当にお疲れさまでした&ありがとうございました!