開発秘話〜ラディ丸が誕生するまで〜
皆様のお声にお応えして
先日、ある方から弊社にお問い合わせがありました。
「ラディ丸の由来が知りたくてホームページ見ましたが書いてありませんでした。興味深いので是非載せてほしいです!」
ご興味をいただきありがとうございます。
ラディ丸の名前の由来や、開発の過程についてはよくご質問をいただきます。
と、いうことでそのお声にお応えしラディ丸が出来上がるまでのお話をしたいと思います。
全ては患者さんのために〜「届けたいのは安心」〜
患者さんにとっては、どんなに説明されても不安は拭い切れない心臓カテーテル検査と治療。
せめて術中は、安心、安楽な体勢で過ごしてもらいたい・・そんな思いからラディ丸開発は始まりました。
「患者さんが安心でき、医師が手技に集中できる安定したポジショニング、かつ、お手入れが簡単」
理想の手台のイメージは既に完成していました。問題は、協力してくれる業者探しでした。
ラディ丸の開発の足がけ〜行動の先に重なった偶然の様な必然〜
ラディ丸の開発に至るまでには、いくつかの偶然が重なりました。
今思えば、思い立ち動き回っていたからこそ、助けてもらえたという必然であった様にも思います。本当にラディ丸開発に繋がっていただいた皆様に感謝です。
ではどんな偶然があったのかといいますと・・・・
国際モダンホスピタルショウ2014との偶然の出会い、そして参加へ
イメージしている手台を実現するためにと、既存の類似製品の検索や協力業者探しを考えていた私に、『偶然』にも当時の職場を担当していたディラーK氏が国際モダンホスピタルショウの存在を教えてくれました。存在を知った私は早速国際モダンホスピタルショウ2014に参加しました。
偶然声をかけた男性
会場でイメージに類似する製品を探しましたが、該当する製品はありませんでした。
私は諦めず、次は「布っぽい製品」を取り扱っているブース探しを開始したところ静岡県ファルマバレーセンターのブースに布製品発見しました。
うろうろとし、『偶然』立っていた男性に失礼にも弾丸交渉。
まさかのお返事でしたが、素直に喜びました。この『偶然』声をかけた男性は、ファルマバレーセンター植田センター長で、
『偶然』にも、その日のその時間だけ、ブースにいらっしゃった方でした。
そして、植田センター長が言う「いい人」とは、植田センター長が『偶然』にも近々会う予定になっていました。
植田センター長が言うには、その「いい人」は、寝具メーカーの方で、ちょうど『偶然にも』医療業界に参入したいと考えていました。
多くの偶然が重なり、「いい人」と運命の出会い。〜開発の開始へ〜
国際モダンホスピタルショウ2014の後日、お互い顔もわからず、私は自作の手台を目印に掲げ、東京駅丸の内中央口で待ち合わせをしました。
そんな状況でも何とか「いい人」と無事に出会うことができ、大手町のカフェで手台についての熱い想いをプレゼンしました。そして「いい人」の寝具に対する熱い想いと意気投合。手台開発が始まった瞬間でした。
その「いい人」は、後にラディ丸を共同開発することになる丸井商事の井木英之社長でした♪
命名。その名は『ラディ丸』
試作品を「作っては試し」の繰り返しでしたが、理想の手台のイメージが明確になっていたことと、すぐに試せる環境であったため、手台開発はスムーズに進みました。
そしてついに出来上がった手台に名前をつけることになりました。
あれこれと考えましたが、最後には、弊社の代表取締役社長である戸頃康男医師にて決定しました。
多角的な視点で戸頃医師と井木社長の間でやり取りされたメールを一部抜粋して掲載します。
-
術者にとって
カテーテル治療は穿刺に始まり止血で手技を終えます。
必ずしも安定した治療ばかりではなく、時には患者の状態も不安定となることもあります。
その際には、手が動いてしまったり不安定な状態になることが集中力の維持に少なからず影響する可能性があります。
このクッションを用いることで、安定した検査治療が可能になる点がアピールポイントです。
そのポイントが、航海に似ている印象があり船に例えました。
つまりは安定した船出、ときに天候が荒れたとしても沈没することなく海の上を漂うことができること。無事に帰港することが約束されていること。
現在用いている青の革のイメージとも相性は良い考えと考えます。
日本発で世界にアピールするものであり、また海が綺麗で魚も美味しいことで有名な静岡県の会社が作るものであることも馴染みやすいイメージと考えました。
加えて、今まで手台といえば平面的なものが主流でした。これはクッションであり、かつ丸いのです。それ自体斬新でありアピールポイントです。
しかも、井木様の会社は、丸井商事です。
カテーテル業界に打って出る最初の商品のネーミングとして、ベストと考えました。
狭窄した血管をステントという金属で拡張し、本来の血管の形であるまんまるに拡げる治療です。
その道具に、丸、という名前がついている。縁起がいいのです。
- 患者さんにとって
従来の冷たい、痛い、不安なカテーテル治療というイメージが、自宅にも欲しくなるような心地のクッションに両腕を乗せ治療を受けられること。
凪いだ波の上に漂う気分ではありませんか。
船のイメージと日本古来の船の名付けの法則、つまりは、なになに丸、と相性がとても良いと考えました。
- その他の視点
国内だけではなく、海外でも当然需要があります。
名前は同一にすべきです。
なぜなら、国内の先生が海外の医師と交流するときに、話題のきっかけにもなるのです。
「ラディ丸って知ってますか?あれは日本発ですよ!」という会話を想像したときに、英語圏の人々が発音できるのか?
とても重要です。
声に出していただければ明瞭化しますが、容易に発音可能です。
まる、という音は中国語圏、韓国語圏、でも馴染むようです。
そして名前も全員合意のもと、『ラディ丸』が出来上がったのです。
ぜひ皆様のもとに『安全』が届けられればと思います。
謝辞〜ラディ丸だけではないAYmedicalをよろしくおねがします〜
ここまでご覧いただいた皆様ありがとうございます。
AYmedicalはラディ丸以外にも、カテ中の安全・安楽を考えたデバイスを販売していく予定です。
皆様のご期待にお応えできる様に、引き続き日々精進して参りますので何卒よろしくお願いいたします。
2020年6月3日
記:代表取締役社長 澤海 綾子