昨年末に、医科歯科連携の講演会に参加しました。
歯科医の高井先生は、「重度の歯周病患者が治療通院中に突然来なくなったと思ったら糖尿病が悪化し緊急入院していた。このように歯周病治療が中断するケースがある。また、小児の虫歯や歯が欠けた等は育児放棄や虐待など、重要な情報が隠れていることがある。こういった糖尿病患者や小児の場合、歯科が先に関わり、医科にその情報提供ができれば、問題の早期発見早期治療に繋がったのではないかと思うことがよくある。」と話されました。高井先生は「糖尿病手帳などに、かかりつけの歯科の欄ができると医科と歯科の連携が取りやすくなるのでは」ともおっしゃっていました。

医科側の戸頃先生は「Covid+AMIは死亡率40%。Covid+心筋炎は死亡は高率。糖尿病患者が重度の歯周病を併発している場合とそうでない場合を比較すると、併発している患者は3倍の心腎疾患での死亡リスクになる。歯周病を治療すると、炎症が治まるため血圧が5mmHg低下する。Covidも糖尿病も歯周病も高血圧も、keywordは『炎症』である」と話されていました。
つまり、医科と歯科が連携をとることで、心血管イベントの早期発見早期治療に繋げられると話されていました。また、循環器内科と歯科の関係では、PCI後の抗血小板薬が問題になることがよくあります。ステント留置後のDAPTは昔は6ヶ月でしたが、今は3ヶ月、出血リスクが高い患者は1ヶ月でSAPTに移行していることが多いようです。医科歯科連携を強化しておくと、抜歯時など困ったときの処方調整や内科相談も可能になると話されていました。

最後に戸頃先生は「コロナ禍で受診控えの状況があり、生活習慣病治療の重要性が問題視されている。対策も治療の一環であり、今後は医科歯科連携で地域医療の質の向上を目指したい」と、新しい連携の宣言をされていました。

今回の医科歯科連携の話は、約一年前から戸頃先生と南條先生で考えられていたとても壮大なプロジェクトでした。私も前職場時代からこのプロジェクトを楽しみにしていたので、新しい連携が誕生した瞬間に立ち会えて鳥肌が立ちました。