とても勉強になるWeb講演に参加させて頂きました。私が印象に残った内容をまとめました。

*心房細動の一次予防とは?

心房細動のリスクファクターは、加齢・男性・高血圧・喫煙・飲酒・肥満・・・つまり、心房細動も生活習慣病の一つなんですね。年齢と性別は別として、生活習慣の見直しが重要だということを改めて感じました。虚血性心疾患には食事・運動・禁煙の指導をよくしますが、心房細動の患者さんにも同じ指導が必要ということですね。

*高血圧と心房細動

特に高血圧が心房細動発症に大きく関与しているとのことです。高血圧により交感神経亢進・レニンーアンジオテンシン系活性の亢進から上室性期外収縮が増加し、AF triggerとなり、左室肥大・拡張障害→心房拡大、心房筋線維化、→心房筋の電気生理的な変化から心房無い電動時間の延長・・そして、心房細動発症、だそうです。なるほど、血圧が高いと最終的に心房筋にまで負担がかかり心房細動が起きてしまうということなんですね。

しかも、心房細動で抗凝固薬を内服するので、高血圧は大出血のリスクにもなります。抗凝固薬の種類は様々ありますが種類は関係なく、まずは「降圧重視」でした。

まとめ

血圧130/80mmHg以下・BMI25以下・禁煙・節酒アルコール20g/日以下(ビールだと500ml)

*実は怖い、無症候性心房細動

心房細動には、有症候性と無症候性あり、症状があればクリニックや病院での検査で掴まえることができます。しかし、症状無い無症候性では、患者の自覚が無いため不整脈の診断に時間がかかってしまう問題があります。怖いのが、無症候性発作性心房細動の虚血性脳梗塞や心不全死亡はの発症は、有候性発作性心房細動に比べて高率だというのです!無症候性の中でも、発作性心房細動を検出するには、24時間ホルター心電図<定期診察による心電図<長時間心電計<植込み型ループレコーダーがあります。ここで驚いたのが、その検出率です。なんと24時間ホルター心電図の心房細動検出率は5.1%ととても低かったのです。長時間心電計(7日間・21日間・31日間)だと10〜20%、ループレコーダーは30%でした。心房細動が検出されないからと何回も24時間ホルター心電図をつけても、検出率はあがらないので、長時間心電計で検査をするか定期的な心電図チェックが重要ということでした。

あとは、患者さんへの自己検脈指導も有効そうですね。自覚症状がない患者への検脈指導はちょっとハードルが高そうですが、患者さんの意識が変化すれば指導も有効かもしれません。

*アブレーション効果の判断は?

心房細動でアブレーションを受けた場合、再発していないかの確認が非常に重要になります。方法は3つ。一つ目はホルター心電図。前記の通り、24時間ではなく長時間型が良く、一週間〜二週間のホルター心電図で確認することが大事だそうです。2つ目は、血圧・脈拍測定。3つ目は、自己検脈3回/日。これら全てがクリアされたら抗凝固薬の中止を検討するとおっしゃっていました。

アブレーションを受けた患者さんには、自己検脈の指導はスムーズにいきそうですね。指導の際には、関わるスタッフ全員が心房細動に対する共通認識を持つことが重要になりますね。

*質疑応答

質問「高血圧が新規心房細動の発生に関与していることはよくわかりました。しかし、クリニックや病院で血圧測定をお願いすると『家で毎日測っているから』『クリニックで測ると高いから嫌だ』と言って測定を嫌がる患者さんがいます。看護師としてどのように関われば良いかアドバイスお願い致します」

小村先生「血圧はワンポイントでは見ていない。心臓は一日10万回動いていて、10万回分の血圧がある。血圧はその平均値が重要。クリニックでの目標血圧は130/80だが、クリニックでの測定をいやがるのなら、『自宅やジムなど他の場所できちんと測定してね』と伝えるのはどうか。」

小村先生のお答えをきいて、なるほど!と思いました。ただルーティーンに「血圧測ってください」と患者さんに言うのではなく、血圧管理の重要性・その意味を理解した上で測定をお願いするのでは、伝わり方がだいぶ変わるなと思いました。

ということで、長文にわたり今回学んだことと感想を書いてみました。医師が何を考え、どの方向に進もうと思っているのか、大事にしていることはなにか、そういう情報を知ることが、質の高い看護の提供には必要不可欠だと思います。今回学んだことを、次の看護につなげていきたいと思います。小村先生貴重な講演ありがとうございました。